同棲地を離れる準備

予定通り

母体の中で息を引き取った秋人を祭壇に祀りながら日々が過ぎて行く。

本来は妻の介護と秋人の育児を行う為の引っ越しであったが、この1件で妻の病状を深く認識する事が出来たので、予定通り会社を辞め2人の故郷に戻る事にした。

有り難い事に妻に配慮した勤務スケジュールや給与変更のお話しまで頂いたが、引き継ぎが完了後に退職させて頂く事とした。

正直、この仕事は天職だと感じていて期待をして頂いていた事を痛感してはいたが、自分の中の優先順位を曲げた方が後悔すると思うとお話しをさせて頂いた。

この日から新人の募集と引き継ぎ資料作成が業務に加わった。

引っ越しの準備

勤務が終わり自宅に戻ると掃除を兼ねた荷物の整理を始めた。

実際に引っ越すのは当分先の話だとしても、借家が有りがたいほど広い為に物を集めて分類するのに時間が掛かってしまった。

季節物の服や食器などは早めに梱包して、お土産を付けて私の実家に送っておいた。

大家さんの旦那さんはゴミ収集のお仕事をされていたので、不慣れな分別する際には大変助かった。

新人研修と引き継ぎ

ハーローワークに募集を出してすぐに数人の方が面接に来られた。

採用されたのは、接客経験は無いけどパソコンの操作に長けていた技術肌の方だった。

基本的な流れを約1ヶ月で覚えて貰い、私が請け負っていたパソコン管理部分の引き継ぎを始めた。

2人の勤務を合わせると通常勤務が出来なかったので、私が休みの日や新人さんが当直勤務の時に時間を作りながら引き継ぎを行った。温泉を借りながら。

そして、試しにシステム変更期間に1週間の有休消化を行い、問題が無い事を確認して本格的な有休消化に入った。

有休消化の間は、懇意にして頂いていた方のお宅に夫婦でお邪魔させて頂いて、色々と貴重なお話しを頂いた。

そして、2人で行くと約束していた観光地や系列ホテルを周り今までの時間を更に深く心に刻み込む時間に使った。

心の声

・後に、この辺りの時間がとても印象深いと妻は語っていた。もしかしたら、離れたくなかったのかも知れない。

・介護を行う為に自分の環境を変える。勇気が要る事ではあるが、残念ながら1番必要な事だと思う。

パルスオキシメーターの選択

一通り持っておきたい

自宅介護を行う上で、体温計と血圧計そしてパルスオキシメーターを用意しておいた方が良いと思います。

医療関係者の方は、体温を【 BT 】、血圧(最高・最低の総称)を【 BP 】、脈拍を【 HR 】、血酸素飽和濃度(酸素が吸えているかの数値)を【SpO₂】と記載されたりします。数値で何となくわかるのですが、指示書や連絡帳の内容を正確に理解したいので頭には入れています。(正式名称で覚えたい方はご自身でお調べ下さい)

その数値を総称して『バイタルサイン(略してバイタル)』と言われています。訪問看護さんや往診の医師や救急士などの様な専門的な方々だと項目が増えますが、付き添いや家族の方が電話で状況説明を行う際に上記の内容を伝えると楽に緊急性や対処法を連絡し合う事が出来ます。

機器の選択

体温計や血圧計は価格のと正確性などの差はあるものの、素人が自宅で使用出来る種類には限りがあるので、今回は省きます。

私たちが一番迷ったのは、血中酸素と脈拍を計測出来る『パルスオキシメーター』でした。

福祉用具を扱われる業者の方がお持ちのカタログやショッピングサイトで調べてると大きな分類でも『①本体を直接指に付けるタイプ』『②手持ちサイズの本体から有線で伸びたセンサーを付けるタイプ』『③据え置き本体から有線で伸びたセンサーを付けるタイプ』とあります。

妻が患っているハンチントン病は不随意運動が出てしまうので、①は吹っ飛んで行く可能性があったので検討しませんでした。

そこで、②を日常用具の助成を活用して購入させて頂きました。

②の利点と欠点

業者様から数種類のお見積りと性能比較表を頂き、株式会社アイビジョン様の『OxyTrue A』を選択しました。

OxyTrue A

本体を購入する際に、病院でも使用されていたテープ式のセンサーも購入させて頂きました。

本体は市販されているスマートフォンより一回り小さく電池で動くので外出時にも使用出来ます。また、付属の指サック型センサーはどの指にはめて測定が出来ました。

ただ、先程も懸念していた不随意運動のせいで指サック型センサーが外れてしまい、3分以上の計測は出来ませんでした。

同時購入したテープ式センサーは密着度が高く、長時間の見守りにはこちらを使用する事が多かったです。

暫くして、慢性肺炎のリスクが高まって来た頃にネットオークションで③の据え置き型を安価で手に入れる事が出来ました。

③の欠点と利点

これはネットオークションでの購入だったので、助成の利用は勿論出来ませんでした。また、専門性の高い機器の為、あくまで電源が入るかどうかは確かめてある程度の状態の購入はかなりリスクが高かったです。

ケーブル類も問題が無く、クリップ型(洗濯ばさみ)センサーも作動品で大変有り難かったです。

据え置き型の利点は、電源確保が必要になりますが病院の様に常時モニターが出来る事です。長時間の経過観察では、②より安心して使用する事が出来ています。

ただ、②の指サック型センターと同じ理由でクリップ型センサーは外れ易く使用出来ませんでした。

その為、別の出品者の方からテープ式センサーを購入しています。このセンサーも色々な種類が出ています。

妻の場合は、手より足の不随意運動が収まって来ているので、足の指に取り付け易い子供用のセンサーを愛用しています。

勿論、この様な機器を使う事無く日常を送れる方が良いのですが、病状が進行して意思疎通が難しくなった妻とこの機器を通して会話をしている様で私は楽しいです。

心の声

・宝くじが当たったら株式会社ミオ・コーポレーション様がご提案されている『 非接触バイタルセンサー 』シリーズを導入したい。未来感が凄くてカッコいい。

・ショッピングサイトでは、安価で操作が簡単な①が多いですね。計測が出来れば全然問題無い。

2019年 年末の過ごし方

大掃除

今年は妻のバイタルが安定してくれず、30日までに安定しなければ病院で年越しをする様なお話しを頂いていました。

しかし、28日ぐらいから安定し始め、今年も自宅で年末年始を迎える運びになりました。

そんな中でもカレンダーは待ってくれないので、少しずつ清掃を行いました。

基本的なクイックルワイパー&掃除機での清掃に加えて、ハンディモップを使ってパソコン周りやカーテンレールの周辺を清掃しました。

既に気管孔を造っている妻に影響が無いように数日分けて行い、今年は窓拭きなどは洗剤臭が気になったので年明けに行う事にしました。

お正月の飾り付け

今年は手を怪我してしまったので、しめ縄の様な凝った飾りつけは行わず餅つきも行いませんでした。

ただ、何もしないのは寂しいので市販のパック餅に杠(ゆずり葉)を刺した橙(だいだい)と天然の裏白(ウラジロ)で飾り付けをした物を一番幸福が来て欲しいパルスオキシメーターの上に飾りました(笑)。

ついでに、ホームセンターで売っていた小さい門松?もインフルエンザ予防に頑張って欲しい加湿器の上に飾りました(笑々)。

入浴介助

例年だと一人で自宅の浴槽で年末最後の入浴を行うのですが、今年から訪問入浴を利用し始めたので、今年はお願いする事にしました。

スケジュールを調整して頂くと、暮れも暮れ。31日の午前10:30に来て頂ける事になったので、申し訳ないと思いながらお願いしました。

お話しを聞くと、午前に2軒と午後に3軒ご対応されているそうです。

お願いしている私たちからすると大変有り難い事です。

通常、訪問入浴前には訪問看護さんに服薬とお通じコントロールをお願いしているのですが、訪問看護さんは年明け3日に来て頂ける予定になっています。その為、これぐらいの処置でお呼びするのは申し訳なかったので、お断りさせて頂いて自分で処置をさせて頂きました。

問題なく終える事が出来て、良かったです。

食事介護

妻の状態が思った以上に安定しているので、色々と予定を変更して今年最後の食事は【明石焼き】にしました。

お店よりタコを大きめにして生地にタコの出汁をたっぷり吸わせ、出汁でふやかして妻と一緒に食べたいと思います。

心の声

・年明けも大きな事が起きません様に。

・サンフランシスコ・49era。地区優勝おめでとう。これで、1月第2週まで介護が頑張れます!!!!!!!(アメフト:NFLの話しです)

自宅介護の勘違い

間違えてはいけない

年代が近かったり、以前から交友がある方々も歳を重ねる中でご自身を取り巻く環境が変わり、これから自宅介護を始められる方や始められて間もない方が居られます。

程度の差はありますが、妻のハンチントン病と言う病についてもご存知だったり、私が行っている自宅介護・在宅介護についてもご理解頂いている方はどの様にしているのか、何を使っているのか聞きに来られる事があります。

そんな方々と話をしていて感じる事が、【自宅で看るのだから】『自分だけでどうにかしたい』、【施設に預けないから】『自分でどうにかしないといけない』と思われて始めて居られると思います。

しっかりと線を引く

私自身もそうでしたが、介護ってそんなに肩肘を張ってやるものなのでしょうか?

自分自身に大切の人の命が掛かっている!

間違いではないと思います。

ただ、残念ながら不老不死の方は存在しないようです。オカルト系の方は反論されるかも知れませんが、少なくとも私の周りでは居りません。

私の介護スタートは『一番近い場所で妻を看取る事』だったので、少しずれているかも知れません。

私の介護は、妻が死んでしまう事が前提で永遠に生き続けてとは一ミリも思っていません。

誤解が内容に補足しておくと、『病気が完治して一般的な生活が出来るならそうあって欲しい』と心の底から思いますし、多少のリスクは冒してしまうかもと自覚があります。

あと3年でハンチントン病が完治する特効薬が販売されると言うのであれば、何が何でも生き延びさせます。しかし、それが叶わないのであれば介護を開始するのと同時に一線を引く決断も必要だと思います。

そこの線引きをしないと長期的な介護は出来なかったし出来ないだろうと思っています。

逆にその線引きが出来たお陰で、今日も妻と一緒に自宅に居る事が出来ます。

世間一般にイメージされている介護や行政や医学界が推奨している介護。

正直、補助や助成がそんなに手厚くないのに、その通りの事なんてやってられません。

理想を高くし過ぎると越えられなかった時の反動(介護鬱)の方が警戒すべきだと思います。

意外と

老け込んだ見出しを付けてしまいましたが、正直、今の時代から介護を始められる方を心の底から羨ましく思います。

当時はインターネットを活用した情報発信も始まったばかりで、情報を集める方法を探す方法が分らない状態でした。

今だと検索すれば出て来る些細な事も、当時は逐一役所や病院の連携室に聞くしかありませんでした。

各地方自治体の規模や対応出来る能力は異なるでしょうが、私たちが自宅生活を決心した時からすると情報は開かれていて、当事者の意見が全て反映されていないにしろ確実に良くはなっています。

後はそれをどの様に活用するかだと思うのですが、決心を固めるだけ考えられているので、意固地になったり『どうせ駄目だろうから』と諦めから入られている様に感じます。

勿論、制度運用が決まっている以上使えない物は使えないのですが、【何に困っている】と【どの様に困っている】を別々に説明すると最初に希望していた事とは別の方法をご提案頂ける事があります。

妻のハンチントン病は認知度がまだまだ低いので、(数年で交代してしまう)窓口担当の方に実際の症状の動画などを見て頂いて、『こんな事になってしまうから〇〇〇は出来ない?』とお聞きしていました。そして、窓口担当の方が移動された後の後任の方にも同じ事をしています。

窓口担当の方々は必ずしも介護や医学の心得がある方ではないので、まずこちら側から現状をしっかり発信して担当の方にご理解頂かないと話が進まず、二度手間三度手間になってしまいます。

別に全部する必要はないけど

先程も書きましたが、少しづつではありますが自宅で行う介護環境は良くなっています。

在宅診療(往診) や訪問歯科、訪問リハビリ、訪問看護、訪問介護、訪問入浴、ケアマネジャー、相談員などなど介護される方だけでなく介護を行う方をサポートする体制は出来ています。

ただ、残念な事にこちらから必要としていると問い掛けをしないと具体的な相談先を教えて頂けないのが実状です。

逆に言えば、ご自身で調べて出て来た物を箇条書きなどで書き留めて置いて、役所や病院の連携室で『現在使用出来るのか』『(病気が進行すると)今後使用出来る物はあるか』を先に聞いておくと、実際に必要になった時に話がスムーズになると実感しました。

実際に、現時点では必要ないけど今後必要になるかもとお話しを聞いていた訪問入浴を6-7年後に利用し始めました。

私は専門的な物以外で、自分でやりたい物を決めてそこからお願いする物を引いていきました。

けど、自宅介護を行う以上、緊急時や災害発生時、お願いしていた施設の閉鎖など環境変化に対応する為には一通りの事を経験しておくことはお薦めします。

心の声

・痰吸引でカテーテルを入れれる様になるのに、1ヶ月ぐらい掛かった。

・服薬を忘れてご自身を責めて鬱になられた方を知っている。その方が忘れたのは整腸剤。今では笑い話になっている事が本当に嬉しい。

付き添い者が風邪で寝込む

宜しくお願いします

自宅介護を続けていますが、インフルエンザや風邪、腰痛などで何度も寝込んだ事があります。

2人ぐらしの私が寝込んでしまうと妻の介護も止まってしまうと言う事なので、気を付けてはいますが私も人間なのでしょうがありません。

そんな時にも、訪問看護さんにご協力を頂いています。

まずはSOS連絡

まず、訪問看護さんのLINEにメッセージを流して、取りあえず現状確認をして頂きました。

その中で、妻に行う通常のケアと日ごろ私が出来ている事から現状出来る事と出来ない事を選り分けて頂きます。

その間に私が病院に行ったり、点滴をして貰う時間を作らせて頂きます。

利用してみて

何度かこの様な事を繰り返し、買い出しなどもご厚意でして頂いた事がありましたが余りにも申し訳ないので、ケア用品などは開封して使用している物にもう1つ買い置きをしておく癖がつきました。

また、ケア用品やエンシュアなどの妻に関する物は中身が見えるクリアボックスなどに入れるようにして、目隠しなどを行わず日常のケアから物の把握をして頂く事で、逐一私に確認しなくていい様な状態に変化して行きました。

これには、なるべく時間を作って看護師さんに有った方が良い物や不便な物を把握するコミュニケーションが大事だと痛感しています。

自宅介護でメインの介助者が私の様な家族であっても、その私が対応出来なくなった時に備えた物の配置や在庫管理は大切だと思います。

自宅介護が長くなるとついつい自分の使い勝手が良い物にしてしまい、たまに手伝いに来た親族などが物の所在を聞いて来るだけでも面倒に感じる・・・方も居られるんじゃないでしょうか?。

ワタシハイチドモソンナコトオモッタコトハアリマセンケド。

私の趣味が模様替えと言う事もあるのかも知れませんが、たまには初めてケアに来て頂いた方目線で介護部屋を見てみるのも良いかも知れません。

心の声

・模様替えし過ぎて自分自身が混乱する事も多々あり。

・模様替えじゃなくて増改築をしたい。

気管孔のケア

順番が滅茶苦茶ですが

気管孔を造った事は以前の記事で少し触れましたが、まとめる迄には至って居ません。

今回は、そこの部分を飛び越えてケアの方法を書き留めて置こうと思います。

良かっと実感する点

妻の気管孔を造った事で、再び私の時間を持てる様になりました。

と言うのも、慢性的な肺炎を懸念しなければいけない頃は1日に何度も吸引を行って居ました。

妻にとっても、何度も何度も口や鼻からカテーテル(管)を入れられて、むせる思いで痰を引かれるのは辛かったと思います。

後半は、咳き込みながらも拒絶をするかの様な仕草を見せていましたが、バイタルも下がりっぱなしなので仕方なく吸引を行って居ました。

気管孔を造ってからはこの行為が格段に無くなり、自力で噴き出した痰を拭き取る事で維持が出来ています。

そして、痰を待って吸引する時間が無くなり、空いた時間で手間が掛かる料理を作れたり、妻と枕を並べて集中してスポーツ観戦(主にNFLやアメフト)を観る時間が作れる様になりました。

弊害として、妻は耳元でアメフト談議を聞かされる羽目になっていますが。

予想以上に後悔している点

医師との説明では問い掛けをして、明確なご回答を頂いてはいたのですが、ここまで声が出ないとは思いませんでした。

気管孔を造る前は、既に言葉でのコミュニケーションは行えませんでしたが、了承・了解を意味する短い『ん』や泣き声や呻き声で現状を訴える事は出来ていたような気がするし、私も分かっているつもりでした。

しかし、全く発声・発音が出来なくなったその姿は、一縷の望みだった妻との絆を断ち切られた様な気がして、介護を行う気力が無くなり掛けた。

また、妻の場合は現時点で人工呼吸器を装着するのが目的では無く、不随意運動で怪我をするリスクが高くなると言う事で気管孔にチューブも人工鼻も装着せずそのままの状態を取っています。

そこの状態確認の為に覗き込める様になるまで、1ヶ月は掛かったと思います。

今では痰を『小さいおっさん』と呼んで、状態確認の時に「小さいおっさんと目が合った!」とか冗談を言いながら拭き取れる様になりました。

又、以前書いた記事の様に割り切れるまでは、自覚のある低レベルの鬱状態が続いていたと実感しています。

私が教わったケア

先程、書いた様に妻の場合は気管孔がそのままの状態で日常を過ごしています。

その為、埃の防御や湿度の維持などが課題になります。そこで、色々とインターネットで専用ガーゼや前掛けなどを調べていましたが、退院前に医師から聞いた方法で1年以上問題なく過ごせています。

①市販のマスク(私たちはこれを愛用しています)を用意します。

②マスクの左右にあるゴム紐の下の部分をマスク本体から外します

③マスクに膨らみを作りながら、気管孔に被せる。

④左右のゴム紐を首の後ろに回して、首に食い込まない様に縛って固定する。

⑤マスクの下の部分はゴム紐が付いていないので、上にめくり上げる事が出来る前掛けの完成。

専用品より安価で手に入り易く、マスク自体は私の様な介助者も使用出来るので在庫管理がしやすいと思います。

肌着の中にいれると隙間は【ほぼ】無くなります。

装着感はこんな感じで、冬場になっても乾燥などは感じられません。

自宅に戻って来たばかりの頃はこれでも心配だったので、マスクの上に薄い晒しやガーゼをカットしてサージカルテープで固定していました。

結果的に

現在では肺炎を起因とする発熱も無くなり、吸引器も月に1回使用するかしないかまで稼働率が下がりました。

本人の意思表示は確実に減ってしまいましたが、それを補完出来るだけの時間を貰えていると考えています。

但し、気管孔を全面的に推奨する立場ではなく、可能な限りこの選択を行うステージまで行かない様にする事前の選択肢を模索される方をお薦めしたいです。

本人自身はここまでして欲しくは無かったかも知れません。私の傍に居て欲しいと言うエゴから来る選択だったのかも知れないとも思います。

だからこそ、ここからスタートした新しい生活を大事にして行きたいです。

心の声

・「何でなにも答えてくれない」と無意味に怒った事がある。

・『小さい嫁っち(妻の名前)』と言うと首を振るので、その呼び名は嫌みたい。

・全然関係ないけど、薪割り中にクシャミをしたら斧が左手人差し指の根本に当たって痛い。自分で包帯を巻き直したら何だかしっくり来ないし。

妻の不安感に対抗する

拭えない不安感

ハンチントン病を告知されてから、妻は先の見えない不安感と戦ってきました。

声が出ていた頃は泣き声や呻き声で訴え、私が視界に戻って来て軽く声を掛けると収まると言う事を日々繰り返していた。

なんでそんなに泣くのかと聞くと「捨てられたと思った」とよく言っていた。これは、どんなに声を掛けても否定をしても払拭出来ない物だと悟った。

言葉を失った今でも、私が席を立とうとすると不安そうな、恨めしそうな顔でジーっと見ていた。

また、眉間に顔中からシワを集めた様な顔をして心なしか手足の動きが激しくなる。全身で抗議をしているのだろう。

約束①

そんな不安を消す方法は何か無いかと話しをする中に、安心して過ごせた今日と同じ事を毎日繰り返して欲しいと言われた。

全く同じ日を毎日過ごす事は出来ないので、確実に出来る『頬とオデコにキスをする』と言うルールを作り、毎日何かしらのタイミングで行う様にした。

現在でも癖付いているので、私が仕事に行く前には必ずルールを実行して家を出る。

当時、本人の意思と口で作ったルール。それを守る事で不安に対抗しようとしている。

約束②

妻が一番不安に感じる時は、寝る前の暗い空間を見ながら色々と考える時間だと言っていた。

その日から同じ布団で寝る様に替え、足や手が必ず触れている様にして寝始める事になった。

妻は安心して寝ている様だったが、正直、私は不随意運動が気になって寝る事が出来ない日々が続いた。

妻の足を私の足でロックしたり、腕枕をして空間を空けてみたり色々と試したが結局、慣れと言う究極の解決法をマスターするしか無かった。

全介助になった今でも、この約束は続いている。しかし、妻は介護ベットと褥瘡予防の特殊マットを使用しているので、残念ながら私もそれに寝る訳にはいかない。

そこで、幅の狭い(60cm)の折り畳みベットを購入し、妻の方には汚染防止の処置をしてから掛け布団と毛布の大きいサイズを使用する事でセミダブルぐらいの就寝スペースを確保した。

介護ベットも低床タイプを使用する事で、枕を同じ高さにする事が出来た。また、段差も無く手を握る事も出来ている。

分かりにくいが薄緑は妻、白が私のスペース

約束③

妻からのリクエストで、態度だけでは解らないと言う事もあった。

そこで、月2~3回は同じ言葉を繰り返してそばに居る事・居続ける事を示している。

文言も書こうかと思ったけど、後々地面を転げ回って後悔しそうなので止めておく。

そんなに甘くはない現実。けど、

他の方々も発信されている様に、付き添いや介護を続ける事は育児や仕事を続けるとは別の力が必要になります。

また、その人の事を想うだけでは割り切れない事も多々あります。

私の場合は、妻がハンチントン病の告知を受けてからスタートラインに立ちました。始めから家庭の基盤が出来上がり、未来を見ている中で突き付けられている方に比べたら気持ちの作り方は楽だったと思う。

結婚する目的が『彼女を1番近くで看取る為』と言うのは、なかなか理解して貰えない。「そんな女は捨てて、新しい人を見つけろ」と何度言われたか分からない(横にいたその人達の奥さんや彼女が激怒していたのが印象的だが)。私が言われた方だとしても、直ぐには理解出来ないとも思う。

それでも、私にとっての現実・リアルはこれしか無い。この現実を抜け出すには、妻を捨てるしかないと思う。

ただ、その現実を形成しているのは私だけでは無く、ご相談やご協力を仰げる多くの方々が居ればこそだと知っている。

そこに気づけなかったら、狭く浅い只々辛いだけの世界だったのではないかと考えると、心底ゾッとする。

近況

誤解を恐れずに表現するが、友人が介護うつで『壊れて』しまった。生真面目で、理路整然とスケジュールを重んじた信頼出来る人。

「もう介護を続ける意味が無い」と力なく発した友人の言葉に何も返せなかった。

ただ、心の中では「そんな事は無い!!」と叫んでいた。

心の声

・妻が言っていた安心出来る日を繰り返す。私自身も大事にしたい。

・介護に完璧はない。求めるべきではない。但し、それに近づける様に試行錯誤しないのはしていないと同じ。

虫歯治療を終えて

現状と処置

妻の病状が進み、自分で歯磨きが難しくなってからは私が代わりに磨いて上げている。

しかし、不随意運動の影響で短時間でも口を開けている事が難しく、以前から色々と工夫をしてケアを行っていた。

今回の入院は、左上の前歯が一部虫歯の進行が止まらず、今後の訪問歯科では治療が出来ないだろうと言う判断で行われた。

その際に、全身麻酔を使用して不随意運動を止めた上で現状把握を行い、不随意運動がある状態化では診察が難しい場所も今後の見通しを含めて処置(=抜歯)をして頂く物だった。

その為、手術室に行くまでは1本から3本の抜歯を状況判断次第という事で、医師のご判断にお任せする前提で処置をお願いした。

結果として、予定最大数になる3本の抜歯と数カ所の初期虫歯の詰め物処置で退院となった。

処置の結果

処置後に、下あごが落ちて来た事で日常のケアが難しくなった下前歯の裏側に溜まった『ゴロゴロした歯石』と表現された物を徹底的に除去して頂き、新しくマウスピースの型取りをして頂いた。

正直、マウスピースを使い始める前後ぐらいから妻の口臭が気になってはいました。

妻が使っているマウスピースは寝ている時の歯ぎしり以外に、不随意運動で起こる歯ぎしりも防ぐ役割をしている為、2組をローテーションで24時間使用しています。

その為、口の中の感想やマウスピース自体に移った匂いで、一層酷くなりました。

ただ、今回の口腔ケアのお陰でその口臭も無くなり、今まで使用していたマウスピースの洗浄でも匂い移りが減って退院後は全く気にならなくなりました。

正直、今までの添い寝より近い位置に枕を置ける様になって『 私は 』嬉しいです。

今後のケア

医師からは、日常ケアについては現状方法以上の事は難しいと言うご意見を頂きました。

ただ、使用しているマウスウォッシュでは刺激成分が強すぎるかもとご指導を頂き、病院内でもケアに用いているウエルテック株式会社様の【Con Cool(コンクールF)】をご紹介頂きました。

以前から、マウスピースの付け替え時に歯科衛生士さんが使用されている緑の薬液が気になっていたのですが、この薬用マウスウォッシュを希釈されている物でした。 使用後の香りも嫌いではないです。

Amazonでも見つけましたが、今回は最寄りのドラックストアで購入しました。

また、同じメーカーが歯磨き剤として使用出来る【ジェルコートF】も販売されている様です。併用すると効果が上がるそうですが、現時点ではこちらは使用していません。

これで、今後のケアが楽になる事を期待しています。

退院時に意見書を頂くのを忘れていたので、現在、訪問歯科さんに渡す資料を整理中です。

心の声

・興味半分で歯石の画像を検索したけど、見なきゃ良かった。

・医師が薬用マウスウォッシュを薦める中で、「営業みたいで恥ずかしいですが」と前置きされた所でやっと打ち解けられた感じがした。

・何もなければ3月のPEG交換まで自宅生活。

普通の人は日帰りですが、

進行した虫歯退治

レスパイト入院から3日。今度は、大学病院で歯科の治療を行う為に短期入院を行っています。

何時もは、私の日常の歯磨きと月1回往診に来て頂く『訪問歯科』さんに処置をお願いしています。

ただ、1度進行を始めた虫歯の治療は往診だけでは難しく、進行を遅らせる処置にならざるを得ませんでした。

そこで、今回は全身麻酔を使用して抜歯を想定した治療をして頂きました。

素人目にも判る虫歯の他に、詰め物が取れている箇所や奥歯で虫歯の進行が始まっている箇所など施術前に数カ所当たりがつけられていました。

何回目、何十回目の入院

何時もは神経内科での処置で入院をお願いしている為、内科病棟になります。

そこでは、過去にご対応頂いた医師や看護師さんが居られ、不随意運動対策もリクエスト無しにご準備頂いています。

そこで今回の入院も歯科の処置ではありますが、連携をして頂き内科病棟でご対応頂きました。

自宅を出る前も比較的落ち着いていて、楽にベット ⇒ 車イス ⇒ 車 の移乗は上手く行きました。前日の夜から冷え込みが厳しくなりだしたので、気に入っているけどいざ着るには派手なダウンを着せて上げました。

病院に着くと、暖かな病室には暑苦しいダウンを脱がされてお借りしている病衣に着替えさせて貰いました。

今回も、柵の防護に使用するお布団替わりになるタオルケットと着る毛布、柵と手の間に入れ体位変換にも使用出来る抱き枕を持参させて貰いました。

最初の試練

状態が落ち着いた頃に、看護師さんがバイタル測定や検査キットを持ってきて頂きました。

そして、毎回の難所【 採 血 】も持ち込まれていました。

妻の場合、血管の細さに加え不随意運動で筋肉が動いてしまうので、毎回複数回刺されています。

今回は特に気温が低い中を通って来た事もあり、かなり苦戦されていました。

両腕試してみましたが引けず、足も探って貰いましたが上手くいきませんでした。

最終的には担当医が呼ばれ、処置をして頂きました。本当に申し訳ない。

最後に行われた体重測定では、3ヶ月前に測定した時から1kg増えていました。状態は安定している様で、安心しました。

検査結果も概ね良好で、あとは施術日を待つのみです。

朝1番

12月3日、施術日当日。歯科の施術を行う方の中で1番目の8時に手術室に呼ばれました。

私も本人確認を行う為に7時15分には病室に着いていましたが、既に手術着に着替えて呼ばれる準備が終わっていました。

ちょっぴり、寒そう

担当看護師が呼びに来て、ベットごと手術室へと移動を始めました。以前より綺麗になっていた手術室の受付周りをキョロキョロしながら進むと、既に別の科で手術を行う方々で順番待ちが出来ていました。

受付を終え、奥に進むとスタンバイされていたご担当頂く看護師さんと麻酔科医と挨拶に交わし代理で本人確認を行いました。

そこで妻とは別れ、家族待合室で待たせていました。他の方には申し訳ないですが、そこまで重篤な処置ではないのでひたすらスマホをイジリながら約2時間半過ごさせて貰いました。

待合室に呼ばれた時には既に妻は病室に移動しており、担当医と一緒に病室に上がりました。

妻の麻酔も完全に醒めており、出血も想像の範囲内の状況に取りあえず安心しました。

医師の説明では、暫く出血は続くが定期的な吸引処置だけで問題無さそうな事などの説明があり、最後に抜いた3本の歯が入ったケースを渡されました。

そのうち1本は、痛かっただろうなと分かる状態でした。ごめんなさい。

いっっったっ

経過観察次第では、週内には帰れるとの事。

とりあえず、看護師さんの皮脂を流す優しい洗髪ではなく毛穴を洗う家族の洗髪をして上げようと考えています。

心の声

・下の前歯の裏でこそぎ取ったと言うゴロゴロした歯石と言うのが気になっている。

・足の血管は、施術時の点滴用に残していた看護師さん。グッジョブ。ナイス判断。

・車いすのチューブが傷んで両方とも空気が漏れていた。交換しなきゃ。

訪問入浴でリフレッシュ

自宅介護15年目にして

妻との入浴は、数少ないスキンシップが取れる時間と考えています。

その為、自宅介助・介護を初めて13年目までは自宅の浴室と浴槽を使用して1人で入浴をさせていました。

最初の頃は二人で狭い浴室に2人で入り、一緒に出るぐらいの事から始まりました。

そして、病状の進行に合わせて妻だけを入れる方に変わり、浴槽での姿勢保持の為にまた一緒に入る様に変わりました。

そして、気管孔を造った事をきっかけに訪問看護さんにバトンタッチをして、2週間に1回程度は 3~4人の人手を確保して貰い、自宅の浴室を使った入浴作業をお願いしていました。

ただ、この作業は端から見ていても申し訳ないぐらい重労働なので、訪問入浴をお願いする事にしました。

思っていた以上に本格的でコンパクト

私たちの場合は、まず相談員(介護保険利用者はケアマネージャー)さんに現状と希望をお伝えして対応可能施設をご紹介頂きました。但し、現在住んでいる地域では一か所しか行われていなかったので、事前に調べていた所の詳細をご説明頂いた形になりました。

そして、正式な契約前に自宅周辺の車の動きと持ち込まれる浴槽を想定した部屋と電源・上下水道の位置確認をして頂きました。

ご対応には問題が無さそうだと言う事でしたので、その場でご契約をさせて頂き、毎週水曜日の13時15分ごろに来て頂ける事になりました。

施設のご要望として、事前に用意しておく物として

  • バスタオル 最低6枚
  • ハンドタオル 最低5枚
  • ハンカチサイズのフェイスタオル 最低3枚
  • 身体を洗うボディタオル 1枚
  • 着替え用の肌着、腹帯、介護浴衣 1式
  • ベットメイキングのシーツ、防水シート、枕カバー 1式
  • シャンプーなど 1式

これを聞いてまず思った事は、『洗濯物が一気に増える』でした。

枚数管理が難しくなりそうだったので、洋服ダンスの引き出し1つ分を空け、そこで一括管理する事にしました。

訪問入浴、初日。お昼に訪問看護さんに来て頂き、浣腸を使用して浴槽を汚さない様な処置と不随意運動を抑える為に導眠剤を注入して来られるのをお待ちしました。

予定の時間。3人1チームで来られ、瞬間湯沸かし器を積載した車を部屋から遠くない位置に駐車して頂き、アタッチメントが取り付けやすい屋外の蛇口から車内に水を引き込みと入浴の準備が始まりました。

同時に部屋へ浴槽を運び込み、組み立てが始まりました。

2つに分かれている浴槽を防水シートの上で繋ぎ合わせて浴槽が完成。もっと重量感がある物を想像していましたが、実際は女性でも片手で持てるぐらい軽い物でした。

排水は専用のポンプを持ち込まれ、出口は浴室の排水溝に差し込む形で固定して頂きました。

準備が進む間に妻のバイタルを確認し、入浴しても問題ない事を確認してから浴槽にお湯を張り始めました。こちらも想像以上にお湯に勢いがあり、自宅で張る時間と遜色が無いぐらいで準備が終わりました。

浴槽には手回しのウィンチでハンモックの様な物が張られ、その上に三人掛かりでベットから移乗されました。そして、ハンモックの張りを緩めていく形で妻の身体がお湯に入る仕組みに感動してしてしまいました(色々な問題で写真が掲載出来ない(笑))。これだと、ツルツルしている浴槽で滑って身体がズレたりする事は無さそうです。

丁寧な作業

洗髪スペースと浴槽は仕切りがあるのでシャンプーが浴槽に入らない様になっていました。

お湯の循環と入れ替えがスムーズで、湯温が下がったり洗髪などで使用した排水が溢れる事も無く、安心してお任せする事が出来ました。

2人掛かりで洗髪と洗顔を行っている間にもう1人が手早くベットメイキングを終えられて、全身を洗い残り時間はシャワーを身体に当てながら入浴をさせて頂きました。

導眠剤の影響もあるのでしょうが、入浴の気持ち良さから何時もより深く寝てくれて、不随意運動の影響を大きく受ける事なく作業を終えて頂きました。

入浴後は、着替えとドライヤーを使ったブロー作業までして頂きスッキリしたと思います。

利用してみた感想

私が以前(5年ぐらい前)調べていたよりも道具が進化していて、ビックリしました。

妻も抵抗なく身を委ねていたので、これであれば継続して利用出来そうです。

また、入浴作業後の見守りも訪問看護さんのご協力を得る事が出来ましたので、もう数回立ち会って道具の置き場所など確認が出来れば、私が立ち会えなくても作業を行って頂けそうです。

心の声

・浴室の排水溝周りも綺麗にしておかなければ。

・冬場の室温管理はお湯を張るから問題無さそうだけど、夏場が大変そう。

・ほかの機器に影響が出ない様に、屋外に単独で設置しているコンセントから電源を取って貰った。

・井戸水はミネラルが多くて不可。

・緊急時は、訪問看護か救急車対応。