気管孔のケア

順番が滅茶苦茶ですが

気管孔を造った事は以前の記事で少し触れましたが、まとめる迄には至って居ません。

今回は、そこの部分を飛び越えてケアの方法を書き留めて置こうと思います。

良かっと実感する点

妻の気管孔を造った事で、再び私の時間を持てる様になりました。

と言うのも、慢性的な肺炎を懸念しなければいけない頃は1日に何度も吸引を行って居ました。

妻にとっても、何度も何度も口や鼻からカテーテル(管)を入れられて、むせる思いで痰を引かれるのは辛かったと思います。

後半は、咳き込みながらも拒絶をするかの様な仕草を見せていましたが、バイタルも下がりっぱなしなので仕方なく吸引を行って居ました。

気管孔を造ってからはこの行為が格段に無くなり、自力で噴き出した痰を拭き取る事で維持が出来ています。

そして、痰を待って吸引する時間が無くなり、空いた時間で手間が掛かる料理を作れたり、妻と枕を並べて集中してスポーツ観戦(主にNFLやアメフト)を観る時間が作れる様になりました。

弊害として、妻は耳元でアメフト談議を聞かされる羽目になっていますが。

予想以上に後悔している点

医師との説明では問い掛けをして、明確なご回答を頂いてはいたのですが、ここまで声が出ないとは思いませんでした。

気管孔を造る前は、既に言葉でのコミュニケーションは行えませんでしたが、了承・了解を意味する短い『ん』や泣き声や呻き声で現状を訴える事は出来ていたような気がするし、私も分かっているつもりでした。

しかし、全く発声・発音が出来なくなったその姿は、一縷の望みだった妻との絆を断ち切られた様な気がして、介護を行う気力が無くなり掛けた。

また、妻の場合は現時点で人工呼吸器を装着するのが目的では無く、不随意運動で怪我をするリスクが高くなると言う事で気管孔にチューブも人工鼻も装着せずそのままの状態を取っています。

そこの状態確認の為に覗き込める様になるまで、1ヶ月は掛かったと思います。

今では痰を『小さいおっさん』と呼んで、状態確認の時に「小さいおっさんと目が合った!」とか冗談を言いながら拭き取れる様になりました。

又、以前書いた記事の様に割り切れるまでは、自覚のある低レベルの鬱状態が続いていたと実感しています。

私が教わったケア

先程、書いた様に妻の場合は気管孔がそのままの状態で日常を過ごしています。

その為、埃の防御や湿度の維持などが課題になります。そこで、色々とインターネットで専用ガーゼや前掛けなどを調べていましたが、退院前に医師から聞いた方法で1年以上問題なく過ごせています。

①市販のマスク(私たちはこれを愛用しています)を用意します。

②マスクの左右にあるゴム紐の下の部分をマスク本体から外します

③マスクに膨らみを作りながら、気管孔に被せる。

④左右のゴム紐を首の後ろに回して、首に食い込まない様に縛って固定する。

⑤マスクの下の部分はゴム紐が付いていないので、上にめくり上げる事が出来る前掛けの完成。

専用品より安価で手に入り易く、マスク自体は私の様な介助者も使用出来るので在庫管理がしやすいと思います。

肌着の中にいれると隙間は【ほぼ】無くなります。

装着感はこんな感じで、冬場になっても乾燥などは感じられません。

自宅に戻って来たばかりの頃はこれでも心配だったので、マスクの上に薄い晒しやガーゼをカットしてサージカルテープで固定していました。

結果的に

現在では肺炎を起因とする発熱も無くなり、吸引器も月に1回使用するかしないかまで稼働率が下がりました。

本人の意思表示は確実に減ってしまいましたが、それを補完出来るだけの時間を貰えていると考えています。

但し、気管孔を全面的に推奨する立場ではなく、可能な限りこの選択を行うステージまで行かない様にする事前の選択肢を模索される方をお薦めしたいです。

本人自身はここまでして欲しくは無かったかも知れません。私の傍に居て欲しいと言うエゴから来る選択だったのかも知れないとも思います。

だからこそ、ここからスタートした新しい生活を大事にして行きたいです。

心の声

・「何でなにも答えてくれない」と無意味に怒った事がある。

・『小さい嫁っち(妻の名前)』と言うと首を振るので、その呼び名は嫌みたい。

・全然関係ないけど、薪割り中にクシャミをしたら斧が左手人差し指の根本に当たって痛い。自分で包帯を巻き直したら何だかしっくり来ないし。

投稿者:

ハンチントン病の介護者

ハンチントン病を発症した妻との約束、【そばに居たい】と言う言葉を胸に約15年の自宅介護を継続中。いわゆる介護鬱にならない様に、心に5段階のスイッチを用意しています。最高?最低?の時は4つ目までスイッチが入った事があります。

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